2026/03/10
【勉強会】 AI を用いたコードレビュー
はじめに
社内勉強会として 「AI を用いたコードレビュー」 を開催しました。
事前アンケートでは、社内の 約7割の方がコードレビューを実施している という結果でした。
その一方で、約7割の方がレビューに時間がかかる、約4割の方が指摘の観点が人によって異なる
と感じていることも分かりました。
コードレビューは品質担保に欠かせないプロセスですが、時間的・技術的なコストに加え、心理的な負担も伴います。
Google で「コードレビュー」と検索すると、「怖い」「細かすぎる」「ボコボコ」「ハラスメント」といった
ネガティブなサジェストが表示されるほどです。
今回は、AI を導入することでこれらの課題をどう軽減できるのか、実体験をもとに共有しました。
コードレビューの構成要素
コードレビューは大きく 静的コード解析 と 人間によるレビュー の 2 つで構成されます。
静的コード解析
Lint ツールやフォーマッターを用いて、コードを実行せずに機械的なチェックを行います。
バグの検出や型チェック、未使用変数の検出などを安定した品質で自動的に実施できます。
ただし、設計意図の妥当性や可読性、保守性といった判断は静的解析だけでは難しく、人間の目が必要です。
使用する AI ツール
今回は Claude Code と Amazon Bedrock を使用しました。
Claude Code は CLI 型の AI エージェントで、ファイルの読み書きやコマンド実行など、複数ステップにわたるタスクを自律的に遂行できます。
Amazon Bedrock は API 経由で LLM を利用できる AWS のサービスです。
Claude Code を推奨する理由は主に 3 つあります。
1. セキュアに利用できる
個人情報や機密情報を扱う場合、Public LLM の利用は原則禁止です。
Amazon Bedrock を利用することで、国内リージョンの Private LLM 環境でセキュアに運用できます。
2. 特定ツールに依存しない
CLI ベースのため、OS や IDE を問わず利用でき、CI ツールへの組み込みも可能です。
GUI ツールと異なり陳腐化のリスクが低く、AI の仕組みそのものを理解しやすい設計になっています。
3. 技術的優位性・成長性が高い
Claude は SWE-bench でトップクラスの評価を記録しています。
今月だけでも Agents Teams や Claude Code Security など革新的な機能も継続的にリリースされており、今後の進化にも期待できます。
レビューの観点とタイミング
主なレビュー観点は コーディングルール、設計・アーキテクチャ、セキュリティ、パフォーマンス の 4 つです。
普段はコーディングルールと設計・アーキテクチャを中心にレビューし、セキュリティやパフォーマンスは
必要に応じて確認しています。
AI 導入初期にはすべての指摘を取り込もうとしてオーバーエンジニアリングになった経験もあり、優先順位を明確にすることが大切だと学びました。
レビューのタイミングは主に 3 つあります。
| タイミング | 特徴 | 使いどころ |
|
コミット前 |
対象を細かく制御でき、早期に問題を検出できる |
新規機能の実装、入念なレビュー |
|
マージリクエスト前 |
1回でまとめてレビューでき、CIにも組み込める |
既存機能の横展開、最終確認 |
|
全体レビュー |
網羅的に改善できるが、分割して実施する必要がある |
既存システムへのAI導入、リファクタリング |
実演:AI コーディング & コードレビュー
勉強会では、Claude Code を使った実際のコーディングとコードレビューを実演しました。
AI を用いたコーディング
類似機能が存在する場合、参考となるソースコードを提示しつつ仕様を伝えることで、一定の完成度まで効率的に仕上げることができます。
新規機能の場合は、事前に AI と壁打ちを行い方針を固めたうえで、Markdown 形式の仕様書をコンテキストとして与えることが重要です。
コミット前レビュー
git add でステージングエリアに上げたファイルを対象にレビューを実施します。
Claude Code に「git staged に上がってるファイルをレビューして」と依頼するだけで、差分ベースのレビューが可能です。
コーディングルールやアーキテクチャ設計書を併せて指定するとレビュー精度が向上します。
繰り返す作業は カスタムスラッシュコマンド として登録しておくと便利です。
マージリクエスト前レビュー
ターゲットブランチとの差分に対してまとめてレビューする方法です。
一度で完了する効率性がある反面、対象が広範囲になるとレビュー精度がやや落ちる可能性があります。
AI レビュー導入で感じたメリット
AI を導入したことで、以下のような効果を実感しています。
- レビュー時間の大幅な削減 — 機械的なチェックを AI が担うことで、人間は本質的な判断に集中できる
- レビュー品質の安定 — 観点のばらつきが減り、一貫した品質でレビューできる
- 心理的負担の軽減 — AI が指摘することで、人間同士の摩擦を避けやすくなる
すべてが期待通りにいくわけではありませんが、限定的な導入でも十分に効果を実感できます。
まとめ
いまは「AI を使うかどうか」の段階から、「AI をいかに効果的に活用するか」という段階へとシフトしています。
いきなり AI を全面的に導入するのは難しいかもしれませんが、コードレビューのような限定的なところから始めるだけでも、その効果は十分に体感できます。
AI 導入に関するご相談や、Claude Code の使い方についてご不明な点がありましたら、お気軽にお声がけください。
